引越しの準備をしている中で、1973年2月の『ひと』創刊号を手にし、とびらの言葉が印象に残りましたので掲示板に書き留めます。
「英和辞典で『one』という字を引くと『1』という意味のほかに、『ひと』という意味を持っていることがわかる。ところが、日本語でも『ひと』に『つ』をつけると『ひとつ』、つまり『1』になる。偶然の一致だろうがちょっと面白いことだ。『1』は数字の原子みたいなもので、1,2,3・・と無限数列の始点となっている。だが、『1』が失われるとたちまち、0,すなわち虚無の中に転落するほかない。『ひと』もやはり無限の世界の始点であり、絶対に失うことのできない、ギリギリの存在なのだ。そのことを心に刻みつけておきたい。(遠山啓)